
株式会社設立に合わせて同時にすべきスタートダッシュについて
新会社法施行前は取締役が3人いないと会社を設立することができませんでしたが新会社法施行後は、会計監査人を置かない場合は取締役を1人置くことで株式会社設立が可能となりました。
取締役が1人だけいればいいので、本来は株式会社設立を行おうとしている本人が居れば良いのですが、訳あって取締役になれない為に取締役の名義借り・名義貸しをして設立している会社もあります。
名義貸しを依頼される側は「何もしなくても良い」「名義の代金としてお金は払う」などとリスクがなく、利益だけが得られるような言葉につられ、気軽に名義を貸してしまいます。
しかし、この様に取締役となって株式会社設立した場合に名義を貸した側は本当にノーリスクなのでしょうか。
もちろん、そのような事はありません。
前述の新会社法施行の背景には、株式会社設立にあたって取締役3人が揃えられず家族や友人から依頼される「名義貸し」が横行したことがあります。
会社が第三者に損害・損益を与えた際に、取締役の責任が問われること、また逆に名義を貸しているだけの取締役が会社の名義で無断で取引を行った際は会社が責任を負うことになるなど、トラブルが絶えませんでした。
何もしなくても良い、ということは自身の名義を自分以外の者に扱われ、取引や契約が行われることになります。例えば、知らない間に会社の名義で事務所を借りられていたため、家賃の滞納の際に督促が行く場合があります。
これ以外にも、何かしらの契約を結んで訴訟問題になった場合に取締役は責任を取らなければなりません。
下手をすると何かしら会社に問題が起きた時に任務懈怠とされ株主から損害賠償を求められるケースに発展することもあります。
また、支払えない債務が残り自己破産するという最悪の事態が起こった場合に自分自身は破産、免責され、名義貸しを依頼してきた者は、特に影響はなく生活できるということすら起きえるのです。
破産となった側は金融機関からの融資は受けられなくなりますので、この先自分自身で株式会社設立を目指しても融資してもらえなくなるなどの結果が待っています。
事業が順風満帆で報酬だけ支払われているといううちは名義の貸し借りは双方にとって良い話となりますが、事業が傾いた時にそれを検知することもできず、負債だけを背負う羽目になってからでは遅いのです。
連帯保証人と同じか、それ以上の責任があると考えて名義貸しの判断を行いましょう。